そう思って部屋を見まわしたら、ベッドの上に電話があるのに気づいた。
外線とか内線かよくわからなくて、フロントの番号にかけた。
開けてもらえなかったらどうしよう…。
そう思うと怖くて電話の声が震えた。
「先に私だけ帰るから一回ドアを開けてもらえませんか?」
電話に出たフロントの人は、私が出た後にちゃんとまだ部屋に人が残っているか確認するために折り返し電話しますねと言ってドアを開けてくれた。
泣きながら服を着て部屋を出る…。

死にたい…
もう嫌

血が流れる胸を押さえ、歩く道も分からない。
ただ歩く。
逃げなきゃいけない。
フロントからの電話で起こされた男が追って来ないか後ろを確認しながら逃げる。
振り返るたびに首を絞められた恐怖と恐ろしい顔をした男が頭に浮かぶ。