私は、夢をみていた。
幼い頃の夢だ。小学校1年生くらいだろうか。
隣にいるのはお母さんだ。手を繋いで歩いている。
「ねぇ、あゆむ、大きくなったら何になりたい?」
「えへへ、あゆむはね、大きくなったら    ね…」

ガタンッ

はっと気がつくと見慣れた自分の部屋にいた。
どうやらパソコンをいじっている最中に眠っていたらしい。
時刻はもう夕方で、部屋は薄暗い。

パソコンのデスクトップにはお気に入りの
アニメキャラクター。
部屋にも一面ポスターが貼ってある。

名無し;2017/6/18
やべぇww銀玉実写化とかww

名無し;2017/6/18
はや松さん二期やるって~
期待

いつのまにか盛り上がっていた2chのスレを閉じると私はベッドに横になった。

コンコン

「あゆむ…ごはんは」
「…部屋の前置いといて」
「うん…ねぇあゆむ、明日は学校」
「うるさいな!行けたら行くよ!早く出ていって」
「…ごめんね」

わたしは枕に顔をうずめた。
小さい頃は、17歳といったらすごく大人で、自分にははるか彼方の遠い存在に思えた。でも、何ということもなかった。
自分は何も変わっていなかった。
人生というものは一度間違えると修正するのはとても困難なのだ。
ちょうど、掛け違えたボタンのように。

「しにたい…」
誰にいうともなく呟いた。

そのときだった。

「へぇ、お前死にたいのか?」