なんでこんなにモヤモヤしてるんだろう。


歩くスピードがどんどん早くなっていくのが自分でもわかる。


気持ち悪い。
胸が痛い。



円ちゃんの声が言葉が私の心に
まとわりついて
離れない。



「はいこれ、今日の夜食に。」
ーーーーー夜食。
桐生のために円ちゃんはご飯を作って差し入れている。




「今日も研究室?」
ーーーーー研究室。
桐生くんが私に【言いたくない】と言った研究内容をきっと彼女は知っている。



「最近、寝てないでしょ?」
ーーーーー最近。
なんで?なんで貴方が最近の桐生くんを知っているの?



「前みたいに倒れたりしたら大変なんだから。この間は研究室だったから、まだ良かったものの。」
ーーーーー前みたいに。この間は。
なんでも知ってるんだ……円ちゃんは。




彼女に勝手になった私とは違う。

円ちゃんは、そばに居る権利をきちんと持っている。

桐生くんも自然だった。

円ちゃんがそばに居るのが自然なんだろう。



やっぱり、胸が痛い。





……妬いてるの?私が?


…………自分の知らない桐生くんを
あの子が知っている。



家に行きたいなんて言わなきゃ良かった。



【失敗】



私は今日のデートでまさに失敗したんだ。



いつの間にか家に着いていた。
無我夢中で歩いてたみたいだ。




この苦しみを忘れよう。

ノートには明日の私が苦しまないように。

楽しかったことを書いて。