「……なに?帰るんじゃないの?」
「か、帰らないよ…!」
「さっき帰るって言ったじゃん」
ムスッとした表情を一瞬だけ見せた創真。
それをあたしは見落としてなかった。
なんだ…意外と怒ってたりするんじゃん。
もっと口に出してくれたらいいのに。
「そ、それは…!
創真に追いかけてほしかったんだよ!!
あたしばっかり好きで…創真は好きなんて言ってくれないもん!」
好きなら追いかけてきてくれると思ってた。
だけど、彼は何も言わずに平然と歩いていた。
まあ。少し怒ってたみたいだけど……
「別に好きなんて言わなくてもいいだろ」
あたしの淡い期待をばっさり裏切る創真の言葉。
やっぱり、彼は冷たい。
甘い言葉をあたしにくれない。



