「…嫌なら帰ってもいいよ」
そういうと、彼はパッと繋いでいたあたしの手を離す。
な、なによ……
嫌なら帰ってもいいって嫌なわけないじゃんか。
どうせ…あたしが出す答えなんて分かってるくせにこんなことするなんて創真もたまには意地悪なもんだ。
「か、帰る…!」
そんな罠に自らまんまとハマってたまるか…!
くるりと体を回転させて来た道をまた歩き始める。
「あっそ…じゃあな。」
顔色一つ変えずにそのまま歩き出してしまう彼。
ち、ちょっと…!!
思ってたのと違うんですけど…!!!
「帰るなよ」とか言って
追いかけるとかしてくれないと困るよ!!
迷いに迷った末に結局、創真のあとを追いかけて腕を掴む。
そんなあたしを見ても表情は固いまま。
ほんと、感情を表に出さないよね。



