「………拗ねてんの?」


「べっつに〜」



あたしの態度に気づいたのか顔を覗き込むように尋ねてきた創真。
その整った綺麗な顔が近づけてこられたら正直に心臓はトクントクンと小さく跳ねる。



「ふぅん」



気づいてよ、と思っているのなんてただのあたしのワガママに過ぎない。


口に出してないのに分かるわけがない。
だけど、どうせ口にしたって冷たく流されるだけ。


それも分かっているから…何も言えないんだ。



「隠しきれてねぇんだよ、バーカ」



ちゅ、と短いリップ音とともに唇に感じた温もり。


え…?今…キスされた?


この半年間キスをしたのなんて片手で数えられるほど。
しかも、全部あたしがお願いしてしてもらえた。


まさか……創真からしてもらえるなんて……


驚きのあまり、何も言えずにただ創真の切れ長で綺麗な瞳を見つめていると彼は耳まで真っ赤にして照れ始めた。