「はいはい、もういいよ。黙りますよーだ」



これ以上、話しかけても言葉のキャッチボールができないのはよく知っているから話しかけるのをやめた。


創真と無言で歩くことは普通だ。


毎日そんな感じだから
いまさら変な感覚にはならない。


歩いている時に少しだけ手と手が触れるけど、すぐに離れてしまう。


触れた手の甲がジンジンと熱くなっていくけれどきっと、こんなにドキドキしているのもあたしだけなんだろうなぁ…と一人寂しく思う。


だけど、ふと手が温かいぬくもりに包まれ、ビックリしてそちらを見ると創真の手があたしの手をしっかりとその大きな手で包んでいた。


弾けたように頭を上げて彼の方を見れば、何もないかのようにすました表情で前を向いている。



「ふふっ……」



嬉しくて、さりげなく繋いできてくれるところとかが可愛すぎて思わず笑みがこぼれた。