一番欲しい言葉をくれない。
『好き』『大好き』
たった二文字や四文字なのに。



付き合ってから好きと言われたのは一度だけ。
二人でデートに言ったときに帰り際に言われた。



それはもう五ヶ月も前の話。
今はあたしのことほんとに好きなのかなぁ?なんて思ってしまうことも多々ある。



「嫌いなんだ…あたしのこと。もういいよ」



嫌いなら嫌いって言えばいいのに。
好きじゃないのに付き合ってもらうよりマシだよ。


溢れてしまいそうな涙を我慢しながら創真の腕を離して向きを変えて歩き出そうとした瞬間


ぐいっと腕を引っ張られて彼の腕の中にすっぽりと収まった。



「……嫌いなんて一言もいってない」



耳元から聞こえてくるその甘く優しい声色はあたしの心臓をトクントクンと高鳴らせ、体温を上昇させていく。



「でも…」


「……やっぱり、今日は俺ん家に泊まってよ。頑張って我慢するからさ」


「え?」



我慢って何の話だろう?
でも、きっと行って損はないだろうしあたしだって創真と一緒にいたい。



「…こうして立ち止まってる時間が無駄。早く帰ろ」



そういうと密着していた体を離して彼はまたあたしの腕を掴んで足早に進み始めた。