車では少し私には古い曲だと思わせるような曲がかかっていた。


「この曲。懐かしい。」

「俺の全盛期の時は流行ったの!」


少し笑いが零れた


ちょっとしてから真剣な顔になったセンセイは

「…お前。なんでこんな時間に公園なんか行ったんだ?」


「なんとなく、帰りたくなかったから。」


「なんとなくって?」

「なんとなくはなんとなくだよ。」

「言ってみろよ。俺は気づいてた。たまにお前が寂しそうな、疲れた顔してボーッとしてるの。」


「でも、センセイには迷惑かけたくない。」

「俺にかけなかったら、お前は一体誰に迷惑かけるんだ?」


気がついたら車は道の駅の駐車場。
そしてセンセイは車から降りて、コーヒーを買ってきてくれた。


いつもの仕事中よりもっともっと真剣な顔して

「いいよ。なんでも聞いてやるから。」

って言ってくれたんだ。


その時、あぁ。センセイは凄いなって。

こんなに安心感あって、なんでも受け止めてくれそうで、優しい眼差しなんて受けたことない。


だって私は大切な人に愛されたことなんて無いんだから。




そうして、私は全部センセイに話した。

今まで隠してたこと。生まれてから今まであったこと全部。
母がいないこと。父には愛されていないこと。そして最近は本当に生まれなければ良かったと思ってしまうこと。



話し終わる頃には自然と大粒の涙が出ていた


センセイは私の手を取って

「よく頑張ったな。」

って言ってくれたんだ。


そんな一言だけど、どんな頑張ったより嬉しかった。


家について帰り際になんかあったらかけろってセンセイの電話番号を教えてくれた。



その日の夜はいつもより心が暖かくなった気がした。