そばにいたかったのは私の方

あの後、教室に入るなり飛んできたのは案の定教師の怒声。
友達もいないため、笑われもしなかったのはとても気まづい。
もう二度と遅刻はしない、そしてやはり高校でもなりを潜めておこうと決意した。

「はあー……」

初日から怒られ、生徒達はまるで自分には関係ない、無関心だとばかりに知らん顔され。確かに誰にも関係無い、私が悪い。それでも少しくらいからかうとか、そういう人が居てくれたら良かったのに…。
がっくりと肩を落とす。

とぼとぼと向かう先は、屋上。
気づけばもう昼休みになっていた。
高校生になったからと、毎朝作ることにしたお弁当を持って屋上の扉を開ける。

「うわあ、いい天気!」

外は眩しいくらいの快晴。雲一つ無い青空とはまさにこの事だと、ひとつ伸びをした。

「気持ちいー……っ、て、あれ…?

……誰かいる?」

お日様に向かって思い切り体を伸ばし、全身で風を受けていると、視界の端に黒い影がうつった。

(……?)

フェンスにもたれかかっている。

(寝て……る?)

どうやら寝ているようだ。
少し俯きがちになっているため、遠くからだと顔が見えない。
起こさないように近づいてみる。

「……あっ!?」

思わず声が出る。
なんと、寝ていたのは今朝ぶつかった、あの男子生徒だった。
朝向けられた、鋭い視線が思い浮かぶ。

(にっにに逃げ……)

正直怖くて関わりたくない。
起こしてしまわないよう、けれど素早く背を向けた。

「……ん……」

すると、後ろで男子生徒が動く気配がした。

「!?!?」

バッ、と振り返る。
すると、射抜くような瞳とばっちり目が合った。

(嘘でしょっ……)

「お前…朝の…」

低く発された声にびくりと肩が揺れる。

「あっああああの、その、……っ」
「……」

じっと見つめられるが、上手く言葉が出てこない。

「……一年か」

「えっ?あ、はい…」

小さく言われ、突然の発言に目を丸くする。
多分、入学したてのあの初々しさが出ていたのだろう。

「…お前、俺のこと知らないのか」
「へっ…?」

入学したばかりで、知らないなど当たり前なのに、相手はまるで自分を知らない方がおかしいという顔をしている。

「しっ、知らない…です」
「……」

それきり、口を噤んでしまった。

(…?)

屋上には他に人がおらず、このままここで昼食などたまったものではない。
…気まづすぎる。

他に場所を移動しようと動く。

去り際、ちらりと後ろを振り向くと相手は再び眠りについていた。