ガチャ
『………起きてましたか。』
ソファーに座る私を見るなりそう言ったのは、
「……barにいた、」
さっきの男だった。
『…心配しないで、って言っても無理ですね。………僕は千凪(せな)。』
「……千凪?」
『……危害を加えたい訳じゃないんです。』
落ち着いた雰囲気で話す千凪と名乗る男の目的はなんなのか。
『…ただね、うちのボスがあなたを探してたんですよ、ずっとね。』
「……は?何言って、」
『一ノ瀬阿実、やっと見つけた。』
いきなり聞こえた声の方を慌てて見る、
『…あの頃より綺麗になった。』
目を細めると、微かに笑う。
「……あの頃?」
『………虎俄を抜けてなかったらこんな時間もかかんなかったのになぁ。』
残念そうにそう言うと、
私を見据えてこう言った。
『…橘がいなくなってもお前は守られてたんだな。』
胸騒ぎがする。
心臓が大きく脈打つ。
コイツ
リュウだ
