どこへ向かうのでもなく、
ネオンの光を見ながら足を進める。
「……なんか久しぶりに来たな。」
飲み屋がひしめく繁華街には、
1人で入れるbarなんかもいっぱいあって、
ーーカラン
昔ながらの古ぼけたbarに入る。
まだ16時なのにやってるんだ、
なんて思いながら。
「……シャンディガフで。」
いつも飲んでて、飲み慣れてる。
久しぶりのお酒に、
1杯なのにほろ酔い気分。
絶妙なタイミングでおつまみが出てくる。
ピスタチオか。
上手く剥けないんだよこれ。
『…殻、剥いてあげようか?』
殻と格闘する私にかけられた声。
カウンターに座る私の3つ隣の席、
こちらを見てフッと笑う眼鏡をかけた、
知的そうな男。
「……大丈夫、です。」
もはや食べるのを諦めた私。
ガタッ
すると、隣に座る男。
『………今日は1人なの?』
「え?」
