『…バター取って。』
「……。」
『なんや、自分で取れや吏玖。』
3人で囲む朝食。
悠雅の隣の部屋には、料理するのに不自由ない程色々揃えられていた。
『ほれ、阿実もはよ食え。』
トーストを片手に私を急かす将希。
食欲なんか失せてる私は、
タバコを持ってベランダに出た。
「……はぁ、」
朝見るとまた違った絶景だ。
(……こんないいとこに住んでるって、本当何者なんだろ。)
窓越しに部屋を見ると、
将希と吏玖は食べ終わったのか、何やらバタバタしている。
吏玖は半袖のTシャツにクラッシュデニムというラフな格好、
将希はというと、
ビシッ……とはしてないけど、また洒落たスーツを着こなしている。
私に気づくと、
『なんや、中で吸えばいいやんけ。』
親指で部屋を指すと、優しく微笑んだ。
