暗闇の中、 私の前を歩く男は、 ポケットからタバコを出して火を付けると、 ふぅっと煙が吐かれる。 「……甘いな。」 独特の甘ったるい香りに私が呟くと、 『…………おい。』 私を視界に入れて、 目を細めた。 『……隣歩け、後ろにいられんの好きじゃねぇんだよ。』 そう言って私を待ってる。 足早に彼の前まで行くと、 再び歩き始める。