「あれっ、ユナちゃん!?」 沙英と別れてから1人ぶらぶらしてた私を呼び止める。 この名前で呼ぶのは、客だ。 「あ、斉藤さん?」 営業スマイルとはこの事だ。 にこにこする私に小走りで駆け寄ってきた男、いや斉藤さんはうちの店の常連さんで、 「こんなとこで買い物?」 私の前まで来ると、嬉しそうに話しかけてくる。 「うん。服とか見ようかなーって。」 斉藤さんは多分ちょっとした役職のサラリーマン。 たまに店にきて世間話をしたり、まぁいわゆるいい客。 そう思ってた。