吏玖の言葉に、
私も嬉しくなる。
「…吏玖、誕生日おめでとう。」
『ありがと。今日は最高の誕生日になりそう。………見て?』
あそこ、
吏玖が窓の外を指さす。
「……?なに?喧嘩?」
大きな駐車場に入った車から見えたのは、
乱雑に置かれた無数のバイクと、
殴り合う男達。
私は必死に目を凝らす。
「吏玖、悠雅もいるの?」
不安げに聞くと、
『いるよ。ほら、あっち。』
窓に張り付いている私の横で、
右の方を顎で指す。
「………タバコ、吸ってない?」
唖然とする私、
だって、悠雅は、
この大規模な乱闘を見物するようにタバコを吸っている。
『悠雅が手を下すのは、アイツ。』
そう言うと、吏玖は反対側から車を降りる。
「ちょっ、吏玖!」
