声が出ない。 目が離せない。 でも、逸らさないと黒に吸い込まれてしまう。 『龍、その子はちゃうで!』 『……あ?』 『俺が連れてきただけや、ここにいる女とはちゃうんやって、ホンマに。』 まわりにいる人達が、 「あの子将希と一緒にきたのかな?」 「龍さんまで?」 「てか、誰?」 そんな声、私には聞こえない。