『今日悠雅は帰らんみたいやし、明日渡すかな～』
前を向きながらそう言う、
「……帰ってこないの？」
私が将希を見上げる。
『なんや、寂しいんか？』
意地悪な笑を浮かべる。
「……んー、どうだろな。」
『さっきからどうだろ、多すぎやん。』
だって、
よく分からない。
ちゃんと人を好きになった事がないから。
『今まで彼氏とかおったやろ？』
「…いたけど、ちゃんと好きだったかって聞かれるとよく分かんないかも。」
私の言葉に将希は、
『意外やな。』
「…てか将希は彼女とかいるの？」
『……彼女はおらんよ。』
将希の事だから遊びの女はいるんだろうな、
なんて思っていた私は、
思い出す。
「…そういえば悠雅のタバコに名刺入ってたな。」
