────それから、さらに時間は過ぎて。
私たちは今、綺麗に飾り付けがされ、椅子の配置も3年生と1、2年生が向かい合う形に変えられた音楽室の中にいる。
みんな、泣き腫らした目を擦りながら。
ホワイトボードには「68期生 引退式」と、大きく派手な字で書かれている。
────コンクールの結果は、優秀賞だった。
目指していた最優秀賞には、届かなかった。
結果発表が終わって、部員たちを乗せたバスが学校に着くまでの間の時間は、異常なほどに暗く、沈んでいた。
「結局3年連続優秀賞。コンクールって、何が楽しいのか分からない……」
どこからかそんな声が聞こえてきて、胸が、ちくりと痛んだ。
一生懸命に取り組んできた部員たちはただ、涙を流すほかはなかった。
新しい部長さんの合図で、外で待っていた3年生が音楽室に入ってくる。
先輩たちの最後の本番を、私たちは最高のものにできなかった────

