そして、曲が進んでいくと、大きくクレッシェンドして────
テンポは一転して一気に速くなる。
タカタカ、タカタカ、と8分音符が刻まれていく。
シロフォンにタンバリン。走り出したくなるような、爽やかで軽快なメロディー。
木管楽器がメロディーの主導権を担い、松本先輩のトランペットがそれを追いかけるようにカウンターメロディーを奏でる。
松本先輩に教えてもらった、あのフレーズ。
1音ずつ、精神を集中させて────
────吹けた!!
ここまでずっと、私はノーミスだ。
そして、全員でクレッシェンド、クレッシェンド、クレッシェンド────
松本先輩のトランペットがメインメロディーを奏で、全体をリードする。
金管楽器が中心となって、明るく華やかな音色が響く。
そして、poco meno mosso(今までより少し遅く)。
夜が訪れたような、妖しく神秘的なメロディー。

