『プログラム19番、O市立J中学校
福島 弘和 作曲 「雲の信号」
指揮 西島 由美子 』
西島先生が観客席に向かって一礼する。
そして、指揮台に上がり、そっと指揮棒を構える。
曲が始まる。
最初は柔らかく優しい音から始まる。
そっと会場を包み込む、ゆったりとしたメロディー。
私とカリンが吹く場所は、まだまだ先だ。
先輩たちが奏でる、神秘的で繊細な音色に耳を澄ます。
優しく歌うフルート。
それに応えるように歌うオーボエ。
その後に続いて、松本先輩のトランペットが優しく響く。
そして、クレッシェンドの後に、メインメロディー。
私とカリンも楽器を構え、流れるようなメロディーを奏でる。
心はひとつに。私たちの思いが、届くように────
メゾフォルテからフォルテへ。
壮大なメロディーを響かせる。
音が高くなるにつれて大きく、加速。
音が低くなるにつれて小さく、減速。
この曲が持つ感動が、聴く人にも、伝わるように。

