楽器の片付けを終え、音楽室を出た私とカリンは、そのまま学校から自転車で10分ほど行った所にある商業施設へとやって来た。
寺沢先生の都合で、県大会止まりでも中国大会止まりでも、引退式はお盆明けに行われることになっている。
しかし、お盆明けはいろいろとドタバタするからということで、今のうちに後輩へのプレゼントを買っておこうということになった。
私とカリンは早速、2階の雑貨屋が並んでいるエリアへと向かう。
「あっ、あのお店可愛い!行ってみようよ!」
カリンがそう言って指さしたのは、童話をモチーフにした可愛いグッズが売ってある店だった。
「あっ、これ、アズサちゃん好きそうじゃない?」
私はそう言って、シンデレラの絵が刺繍された小さなハンカチを手に取る。
「いいと思う!こっちはモモちゃんに似合いそうかな?」と、カリンは赤ずきんの柄のポーチを手に取りながら答える。
一面に並んだ可愛らしい小物の数々を前に、自分のものになるわけでもないのに私たちはワイワイはしゃぎながら、4人の後輩へ、それぞれ似合いそうなプレゼントを選び、買った。
「喜んでくれるといいね」
「うん!楽しみだね!あっ、そうだ、せっかくだしちょっと何か食べていかない?」
カリンの提案で、私たちは次に、1階にあるドーナツショップへと向かった。

