────タカタッタカタッタカタッタッ、パーンパパッパッパーーーン!
課題曲のイントロはうまく決まった。
窓から見える青空へ向かって、私たちの音が駆け上がっていく。
ひとつひとつの音が、私たちの夢を奏でる。
────きっと、今なら届くと信じてる。
この音に乗せた思い。積み重ねて来た日々が私にもたらしたもの。
ソロの部分が近づき、私はすっと楽器を構える。
────ラーラーラーーラー、たったったったーん、パパパーン!
しっかりと響いた最後の音が、青空へと吸い込まれていく。
よし、うまくできた!
そのまま課題曲が終わり、自由曲も完璧と言っていいような仕上がりで終えることができた。
全ての演奏が終わると、音楽室の隅で見ていた先輩達から一斉に拍手が上がる。
「すごーい!」
「めっちゃ成長してるじゃん!」
「金賞間違いないでしょ!」
先輩たちは次々にそんな歓声を上げている。
────1年生の時から、ずっとずっと、胸の内にあった願い。
それが、こんなにも早く叶うなんて。
嬉しさと感動で、胸がはち切れそうだ。
やがて、先輩たちは30分ほど合奏を見ていった後、シオリ先輩が「それじゃあ、私たちはそろそろ帰ります、差し入れのお菓子を置いていくので皆さん食べてくださいね、コンクール応援してます!」と言って、皆音楽室から出ていってしまった。

