自分の自転車に乗った後、私はいつものように、レナとハルトを探す。


中学生になってすぐの頃は、行きも帰りもレナとハルトと一緒だったが、皆が部活に入ってそれぞれ別々の日に朝練をするようになってから、3人で登校することはなくなった。


しかし、帰る時は今でも、レナとハルトの3人で一緒にいる。


「レナ、ハルト、一緒に帰ろー!」

「あ、志帆だ!」

「すぐ行く!待っててー」


部活帰りの生徒たちの自転車が慌ただしく押し寄せる校門を抜けて、3人で一緒に帰る。


今日あった出来事なんかを話しながら、一本道を進んでいく。


細くきりっとした目、すっと整った顔立ち。オレンジ色の夕日に照らされたハルトの横顔は、いつもに増してかっこよく見える。


しばらくすると、後ろから私たちに話しかける声が聞こえてきた。


「おいおい、お前らー!俺を置いて仲良さそうで、ずるいぞーっ!」


まだ声変わりしていない男子の、甲高い声。


しばらくぶりに聞くその声を聞いて、振り返ってみると────


「あーーっ!セイジ!!」


そこにいたのは、私の同級生、福原 誠司(セイジ)。


私とは「幼なじみ」のような関係の男子で、レナやハルトとはまた別の、特別仲の良い存在。


幼稚園、小学校と同じで、男子ということもあり、良いことでも悪いことでも何でも、オブラートに包むことなく思いのままに本音と冗談を言い合える唯一の存在、と言ってもいいぐらいの人である。


中学校ではクラスが離れてしまったために最近はあまり会っていなかったが、小学校の頃はレナやハルトと同じぐらい、よく遊んだものだ。