春休み明けで、私は久しぶりに少し早めに朝の支度をしてから、学校に向かう。


今日から私もとうとう3年生だ。


もう、私は最高学年なんだ。


もう、中学最後の年なんだ。


時間の流れって、本当に早い。


朝、私はため息をつきながら校門をくぐる。


今朝の悪夢のこともあったし、東神高校か浜百合高校のどちらを志望校にするかもまだ決められず、悩んでいるからだ。


満開の花を咲かせた桜の木の側を通って、クラス分けの表が貼られている3年生の昇降口へと向かう。


私は人混みをかき分けて、背伸びしながら表を確認する。


「広野 志帆」という字は、A組の中にはない。


B組でもない。


C組でもない。となると、最後のD組か。


私はD組の名簿をじっくり見る。


表の中の「広野 志帆」のすぐ下に、「福原 誠司」の文字があるのが真っ先に目に入った。


……セイジと同じクラスか。色々と騒がしくなりそうだ。


それから私はリサの名前も探したが、リサの名前はD組ではなく、B組にあった。


とうとう、リサともクラスが離れちゃったか。


カリンはA組。レナとハルトはC組。


とりあえず、どのクラスになったか気になる人の名前は全部確認したし、担任の先生が寺沢先生でないことも確認できたから、私は靴を履き替えて、教室へと向かおうとした。


が、その時、後ろから誰かに呼ばれた。


「志帆〜、おはようー!とうとうクラス分かれちゃったねー」


リサの声だ。私は振り向き、いつものように挨拶を交わす。


「そういえば、志帆、なんか吹奏楽の名門校からスカウトされたんだって?浜百合だっけ?凄くない?」とリサが聞いてくる。

「え、リサ、なんでもう知ってるの!?」

「知らないの?志帆は携帯持ってないから情報に疎いかもだけど、けっこうその話有名になってるよ」

「えー、本当に?信じられない〜」