1年生たちは真剣な表情で、私の説明を聞いている。


それを見ていると、私も先輩として頑張らないと、って思える。


「で、慣れてきたらここの音は全て同じ音量で吹けるようにするとベストだと思うよ」

「「「はいっ」」」

「じゃあ、もう1回吹いてみよう。案外、テンポが速いほうがリズムに乗りやすいかもね」


私はメトロノームを116に合わせて、もう一度同じ部分を4人で合わせる。


タララ、タタタ、タタタ。


まだまだ合っているとは言い難いけれど、それでもさっきよりは良くなっている。


「そう、少し、良くなってきたかな?9個の同じ長さの音符が並んでいる、って考えるよりは、3個ずつまとまった音のセットが3つずつあると考えると、リズム感覚をつかみやすいよ」


そう言いながら私は、いつの間にか緊張がゆるんでいるのに気がついた。


部活体験で最初に後輩と接した時と同じように、だんだんと緊張が解けて、後輩に教えることが楽しくなってくる。


さっきの休憩時間に少しだけ話したこともあってか、私と3人の間の信頼関係が、ほんの少しだけど強くなったような感じがした。


3人の後輩は皆、私のことを先輩として信頼する、真剣な眼差しで見ている。


そして、私の言ったことにはしっかりと返事をしてうなずく。


私はもっともっと、この後輩たちにとって信頼できる先輩になりたい。そう思いながら、私はパート練習を進めていった。


後輩たちと接することで、後輩たちだけでなく、私自身も成長していけるような感じがした。


────パートリーダーになりたい……


その思いが、不安を乗り越えて、どんどん確固たるものになっていった。