そして、放課後になった。


私はレナやハルトやリサに、一緒に吹奏楽部を見に行かないかと誘ったけれど、偶然にも3人ともバスケ部を見に行きたいそうだったので、私は一人で吹奏楽部の見学に行くことにした。


人混みの中をかき分けて、私は何かに導かれるように、吹奏楽部の部室のある別棟の方へと歩いていく。


別棟の1階は武道場、そして外側の階段を登った先にある2階が、この前「眼鏡の人」に連れてこられた、吹奏楽部の部室である音楽室だ。


別棟に着いた私は恐る恐る、2階へ続く階段を1段ずつ登っていく。


ようやく一番上までたどり着いたその時、すぐそこにある音楽室から、部員である先輩のものと思われる甲高い声が聞こえてきた。


「きゃー!!ねえねえ!見て見て!!1年生だよ!早速お客さんだよ!!」

「ほんと!?みんな、準備!準備してっ!」


その声のする方向────音楽室へと足を踏み入れると、「来てくれてありがとう!!」という声と共に、何人かの先輩が集まってきた。


「来てくれたんだね!さ、こっちに来てっ!」


私はその先輩に言われるがまま、音楽室の奥へと進んでいく。


中にいたのは楽器を持った先輩たちばかりで、私以外の1年生はまだ1人も来ていないようだった。


「記念すべき今日最初のお客さんだね~」

「何の楽器が似合うと思う~?」

「まだ合奏始まるまで時間あるから、楽器体験してくー?」


そう言いながら、私の周りにどんどん先輩たちが集まってくる。


いきなり先輩たちに囲まれ、戸惑っていたその時────



私の視界の中に、見覚えのある人を見つけた。