【2014年 9月上旬】





夏休みが終わり、2学期が始まってから数日経った朝。


今日はハルトが朝練で、私とレナは普通の時間に登校する日だ。


私はいつものように自転車で坂道を降りて、麓の公園で待ち合わせしているレナと一緒に学校へ行く。


9月になり、朝は少し涼しくなってきたとはいえ、まだまだ外は暑い。


自転車を漕いでいると汗をかくから、今すぐプールにでも飛び込みたい気分だ。


ふいに、レナが口を開く。


「志帆、最近ハルトとはどんな感じ?」

「ハルト?んー、夏休みの間、全然会ってなかったからなぁ…。携帯持ってないから連絡もとれないし」

「あー、確かにね、夏祭りも一緒に行けてないしね」

「でも、学校始まってから、また一緒に帰れるようになって、幸せだよ~」

「そっか、楽しそうで何よりだね」

「うん!」

「てかさ、志帆、ハルトに告白とかしないの?いつまでも片想いのままって訳にもいかないでしょ」

「う……いや………告白したら、なんだか今までの関係が壊れちゃいそうで怖いし、それに、そんな勇気、私にはないよ」

「そっかぁ〜」


レナはそう言ったきり、黙ってしまった。