「先輩!ほんとにありがとうございました!」

「うん、じゃあ帰ろっか」

「はい!!」



あたしたちは夕焼けの中歩き出した。



「先輩のお家真逆なのにすみません…」

「気にしなくていいよ、璃愛は彼女なんだから」

「でも…次はあたしが先輩のお家までお送りします!」

「ははっ、彼氏が彼女に送ってもらうなんて聞いたことないよ」



楽しい時間はあっという間っていうのは本当らしく、あたしの家こんなに近かったっけ?ってくらい短く感じた。



「送ってくれてありがとうございます、先輩」

「うん、じゃあまた明日ね」

「はい!」



先輩はあたしの頭にポンッと手を置いてから背を向けて歩き始めた。



あ…

先輩、行っちゃう……



「……あ、あの!先輩っ!!」

「…どうしたの?」

「すみません、最後にわがまま、言ってもいいですか…?」

「珍しいね、璃愛がそんなこと言うの。いいよ、俺にできることならなんでも言って?」



先輩は少し進んだ距離から戻ってきてくれた。



「あの…ぎゅって、抱きしめてほしいんです…」



あたし、何言ってるんだろう…

さっきの1年生のこと、無意識に気にしてるのかな…



「なんかあった?」

「な、何もないです…あ、あの、やっぱりいいです!すみません、変なこと言っちゃって、こんな外でなんてできないですよね、あの、気にしないでください!それじゃあ気をつけて帰ってくださいね、せんぱ…ッ!?」

「…今日だけ、特別だよ。いつもならこんなとこでこんなこと、できないんだからね」



あたしは先輩の匂いに包まれていた。



「はい、先輩…////」