家の前に着くと
毎日この扉の向こうには彼がいるかもしれない
そう思って扉を開く私がいた。
「真凛さんっ」
懐かしくて愛おしい響きに
振り返ると彼がいた。
…ああ、私
彼が恋しくて堪らないのね。
そしてこんな幻覚を見ているのね。
家の前で立ち竦む私を
彼は抱き締めた。
それはとても心地よく
暖かいもので
彼の体温が私へと伝わる
「…やっと触れられた、」
彼はそう言うと
そっと私の唇に彼の唇を重ねた。
「…海斗、なの?」
そう言って頬に触れると
彼はヘラっと笑う。
一瞬の出来事は何が起こったのか分からず
私の心を掻き乱していく。
「真凛さん、会いたかったよ」
風が栗色の髪を揺らし
綺麗な瞳には満開の桜が映り込んでいた。

