家に帰り、眼帯を外すと
彼はリビングにいた。
「真凛さん、おかえりなさいっ」
私は長め前髪を掻き上げると
彼はちょこちょこと寄ってきて
私の頬に触れた。
「…前髪切らないんですか?」
そう言って見つめる彼の瞳は
とても綺麗で、透ける体を貫き通るようにして
私はソファに腰掛けた。
すると彼も隣に腰掛け、
「切った方が絶対可愛い、」
と初めて敬語以外で呟いた。
「は、…はぁ?何言ってんの。私はこの目のせいで…、この目が嫌いで…嫌いすぎて眼帯してるくせに前髪も切れずにいるのにっ、」
彼の言葉を素直に受け止められずに
私は可愛くない言葉を彼にぶつけた。
「…真凛さんは綺麗ですよ」
そう言って私の頬に触れ
目を見つめる。
「真凛さんの目はサファイアみたいに綺麗です。…真凛さんが嫌いでも僕は好きですよ」
そう言ってはにかむ彼を
私は抱き締めた。
温もりも感じられないはずなのに
なんとなく心地よかった。
初めて “綺麗” だと
“好き” だと言われたからなのか
私は私という存在を認められた気がして
「真凛さん、泣いてもいいですよ」
私を分かってくれた気がして
「…っ、うわぁぁ、…、」
私は声を上げて泣いた
彼の腕の中で泣いた

