あたしが名を呼ぶと、ハルは笑みをあたしに向ける。


「ありがとう、レイちゃん」


礼を言われるようなこと、あたしはしていない。

むしろ、ハルの嫌われてもおかしくないような決断をしたんだ。

きっと、いつかハルはあたしに愛想を尽かして居なくなるであろう。

その時は、明日かもしれない。

それでも、今・・・

この瞬間をハルと居ることを、あたしは選んだ。

この道を選んだ以上、あたしはハルが離れると望んだ時。

あたしは、潔く消えてあげよう。

少しでも、ハルの為になることを・・・

最後の最後の瞬間に、してあげよう。

ごめんね、ハル。

あたしなんかと出会ったせいで・・・

ハルはどれだけ自分を殺し、我慢し、傷ついたんだろう。

あたしには到底理解できないほど、ハルの器が大きかったよ。