ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~

「そんな玲を理解できるようになったのは、玲が中学校に上がった頃だった」

「本当に嬉しかったわ。玲との距離が少しず近づいてる気がして」


一番近くにいたお母さんは、きっと玲の変化に誰よりも敏感だったことだろう。


「玲が泣いたところを、君は見たことがあるか?」


お父さんの突然の言葉に、反応が遅れる。

この質問に、素直に答えていいのだろうか?

娘が泣いてるなんて、親なら面白くはないよな。

でも玲の大切な人間に、嘘をつく気にはなれなかった。


「何度か」

「そう」


お母さんは俯き、声を震わせながら口にした。

俺、マズいこと言ったかな。


「すいません」


都合が悪くなり、とりあえず謝罪の言葉を口にした。