ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~

side ハル


「ごめんなさいね」

「いえ」


目の前に腰を下ろす、玲の両親に少し怯みそうになる。


「影山さん」

「はい」

「私たちと玲の関係は、ご存知ですか?」


お母さんの言葉に、俺は戸惑いながらも「はい」と返事をする。


「私たちと玲は、血の繋がりがない。でも本当の娘だと思って、今日まで育ててきた」


お父さんの言葉通り、きっと玲は大切に育てられたのだろう。

お2人と玲を間近で見て、実感できる。


「玲がうちに来たのは、9歳の頃だった。その頃は、今よりももっと感情表現が貧しくてね。初めて玲が笑ったのを見たのは、1年くらい経ってからだった」


きっと、色々大変だったことだろう。