ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~

「玲が思ってるほど、俺は立派な人間じゃない。玲の傍に居続けたのだって、玲に好かれたいって言う下心。だからさ、そろそろ落ちてくれない?俺に」


悪戯っぽく笑うハルに、目頭が熱くなる。

泣くもんか。

そう思えば思うほど、涙が溢れた。

失いたくない。

だけど、繋ぎ止める理由が見つけられなかった。

そもそも、一緒にいるのに理由なんて必要ないのに···

仮に理由が存在すると言うならば、そこに確かな繋がりなんてないんだと思う。


「で、落ちてくれる?」


ハルの言葉に、あたしは何度もただ頷いた。


「好きだよ、玲」

「たぶん、あたしもハルが好き」

「たぶんかよ」


上から、クスクスとハルの笑い声が聞こえる。