ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~

「岩崎彩華さん。最近、こっちに引っ越してきたんだって。で、この人が···」

「さっき言ってた、彼。でしょ?」


彩華は、あたしに話を合わせる。


「はい。で、たぶん···」

「初めまして。岩崎彩華さん」


いつから居たのか、壱哉が彩華に自己紹介をする。


「は、初めまして」

「良かったら、ナンパに付き合ってくれません?」

「え?」


驚く彩華の手を引き、「トモ。俺、抜けるわ。わりいけど、後頼む」と壱哉は彩華を連れ去る。


「連れてきたの、あたしなのに」

「許してやってよ。玲の言葉信じて、壱哉はひかりを過去に置いてきたんだから。きっとアイツにとって、今日は待ち焦がれた未来なんだよ」


あたしだって、彩華との再会を待ち焦がれていた。