そして、双子の赤ちゃんは施設へと預けられた。

両親が居ない子として育った双子だが、互いの存在に助けられ、必死に生きていた。

2人で、1つ。

だから、その2人は互いのことを『イチ』と言う名で呼び合っていた。

それは、2人だけの秘密だった。

そんな2人のこと引き裂く悪魔がやって来たのは、6才になる頃だった。

母親の両親が、双子の姉を養子と引き取ったのだ。

なぜ、双子なのに姉だけ?

妹は、幼い頭で必死に考えた。

だけど、当時の彼女に答えなんて導けなかった。

1人ぼっちになった妹は、孤独の渦に飲み込まれ、
笑わなくなり、心を閉ざした冷たい女の子へと成長した。

そんな妹が9才の頃、養子に迎えたいと言う里親が現れた。

そして淡々と手続きが行われ、彼女は里親に引き取られた。