ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~

乱れた自分の心を静める為に、外に出た。

そして少し離れた場所に置いてある、ベンチに腰を掛ける。

少しだけ肌寒い、夜風は今のあたしには調度いい。


「こんな時間に、こんな場所で、女が1人で居たら危ないだろ」


その声の主は、静かにあたしの傍にやって来る。


「もし何かあっても、迷惑はかけないから安心して」

「そう言う話をしてるんじゃねぇよ」


晃一は、優しくあたしの頭を叩く。


「何かあったか?」

「なんで?」

「あの頃と、同じ顔してるから」


あの頃・・・


「何もないよ」

「蓮見は変わんねぇな。昔も今も、自分からは何も話さない」


悲しそうな笑みを零し、晃一はあたしの隣に腰を下ろす。