私を照らす太陽

もう、笑えないと思った。でも、今私は確実に笑えてる。この人の行動で笑ってる。
私の表情筋、まだ死んでなかったのね。
それとも、熱があるせいなのだろうか。
私、これからもちゃんと笑えるかな...
ふと、彼から視線を感じ、おそるおそる顔を向ける。
久しぶりに笑ったから変な顔だったのかな。
そんな心配を他所に、彼は真顔で私を見ていた。
そう、真顔で。
真顔。
そう、彼は真顔で私を見ている。
大切なことなので何度も言う。
彼は真顔なのだ。
ピクリとも動かない彼の表情に若干恐怖を覚える
そんな彼は次の瞬間とんでもないことを口にした。
「お前、そうやって笑っとけば可愛いのに。あと、メガネ、はずせば?」
『梓はさ、可愛いんだから自信もっていつも笑顔でいなよ。笑ってる梓、俺は好きだよ?』
ドクン...
心臓が嫌な音をたてる。
そうだ。何私笑ってるの?笑ってはいけない。だって、私の笑顔があなたを...
「...おい、大丈夫か?気分悪いか?」
私の態度が急に変わり、彼も危ないと察知したのか、先生を呼びに行こうとする。
やだ、やだやだ。
「行かないでっ!!!行っちゃやだ...雅人さん...」
行かないで、雅人さん...