私を照らす太陽

あれから何時間たったのだろう。
目が覚めた時にはもうお昼。
そして、私の手を握り眠る男が1人。
一体何があったのだろう。
手をゆっくり離そうと起き上がる。
「ぅん...」
ギュッ...
離そうとしたのに強く握られてしまった。
これは困った。
男の顔は私と反対側を向いているので見ることは出来ず、この状態をどうするか本気で悩み始めたとき、
「...あ、やべ...寝てた...」
男が目を覚ました。
そして、握られた手を見て、数回瞬きをし、何かを思い出したようでこちらを見る。
「これ、俺から手を握ったわけじゃなくて、俺が君を運んで帰ろうとしたら手を掴まれたの。んで、仕方なくつまらない授業をサボって、ここで寝てたってわけ。だから、セクハラとか、そんなんじゃないから。」
「は、はぁ、そりゃどーも。」
あまりにも無表情すぎて、マヌケな返事しか出来ない。
しかも相手が朝騒がれていたイケメンくんであり、私を運んでくれたという。
「ま、無事でなにより。」
私から手を離し、頭にポンッと手を置いてぐしゃぐしゃする。
いきなりの事でビックリし、男を見て目をパチパチさせる。
男はあまりにも切なく、そして優しい笑顔を向けるので私はさらに驚いてしまった。
「あ、あの...」
声をかけるとハッとして、すぐに手を離す。
「す、すまん。い、妹みたいに小さくてつい...悪かった、忘れてくれ。」
顔を手で隠し、すぐに私から顔を背ける。
そんな彼を見て少し和んでしまう自分がいる。
「えっと、助けていただいた様で。ご迷惑お掛けしました。すみません。ありがとうございます。」