「どちら様で・・・?」

少々腑におちない状況にではあるが、おそるおそるドアを開けた。

そこには、ひどく息を切らしてここに来たと思われる青年がいた。

全身黒ずくめの状態だが、闇にまぎれて動くに格好の姿と思われ・・・。

そうせねばならなかった・・というような雰囲気をかもし出していた・・・。


「失礼する、こちらファルカス殿のご自宅で間違いないか!」

息を切らした青年は、ユリアを見るなり、そう呟いた。

「・・・そうですが、こんな時間に何用でしょうか・・・」

なにやら緊迫したような雰囲気を漂わせている。

工房の前にいるのは、この人だけではないみたいだった。

それに、何故か、工房の周りを警戒しているようだった。

身なりや口調からして、下町の警備をしている兵士のようにも見えなかった。

下町を警備する兵士とは明らかに雰囲気がちがうのだ。

しかし、何故・・・?

と疑問に思っていた時だった!

目の前の青年が口にした言葉は、ユリアにとって思いもよらない言葉だった!

「私は王宮の秘書官です。とある方の治療を依頼したい・・・。
 突然出すまないが医師ファルカス殿とお会いしたい!」