キエルにとって、ユリアから聞かされた内容とファルカスの研究記録は、
今までの常識から外れた結論であり、呆気に取られる内容でもあったが、
彼女の導き出した仮説は理論的に考えても、筋が通っているものだった。

しかし・・・。

キエルはユリアの考案した改良メモを見て、驚きを隠せなかった。

ファルカスの研究ノートと、元の調剤レシピ。
この二つがあったとしても、そこから導き出した結論は、見事としかいいようがなかった。

それを、若干18歳の少女が・・・。
たった1時間程度で、ここまでの内容を作り上げたのだ・・。

親の七光りとは・・到底言えない。
本人は全く気づいていないようだけど・・・。
この子は確かな知識と研究力、そして、実力を兼ね備えている・・・

キエルにはそう思えて仕方がなかった。

ただ、ユリアのレシピはキエルから見れば、まだまだな点も多く、改良の余地は大いにあった。

今回は時間がないので、キエルの意見を加え、最低限の改良を加えた。

しかし、調合の材料を見れば、高価な貴重品の記載も多くあり・・・。

王宮内だからこそ作れるような物で、大衆向けではないことを示していた。

つまり、改良の余地はまだまだ多いと言うこと。
今の段階では完全に確立した理論と治療方法とは言いがたい。

これからもこの研究は続ける必要があるということだ。