「組み合わせによってつくられる毒素・・?」
「はい。それと解毒剤に使用されている、この薬草。ほら、ここに記載あるでしょ?ここ数日、殿下は解毒剤を服用していたし、・・・。襲撃の起こった数時間前にも飲んでいましたよね?そしてその後に襲撃を受け、症状ガ出た。可能性の一つでしかありませんが、説明はつきます。この国にはないものが使われた可能性も否定はできませんが・・・。」
「つまり、・・・??」
「ココに記載された方法で、解毒剤の改良を行うんです。これに変えて、こうすれば・・。」
「解毒効果を期待できるかもしれないと・・・」
「はい、あくまでも可能性の一つですが・・・。やらないよりかはましかと・・・。」

説明を受けたその内容は、あまりにも専門的過ぎた。
全てが理解できたわけではなかった。

けれどクラウスは、そんな彼女の言葉に、「可能性」という光を抱いた様な気がした。

その内容に確証があるわけでもない。
安全性が確立しているわけでもない。

通常で考えれば、解毒剤の改良なんて、すぐ出来ることではない。

そして、改良案を提案してきたのが、まだ若干18歳の女性医師で薬剤師。

王都では無名な存在だ。

いくらファルカスの娘とはいえ、発言をしたところで相手にされないが関の山だろう。

けれど、それでも、今はそれが最善のように思えた。

彼女はこのわずかな時間で、仮説にたどり着き、ある結論をだしたのだ。

ファルカスの助けはあったが、一つの可能性を提示したのだ。