「なんでそんなに遠くに座っちゃうの~?」 猫なで声で続けるそいつは、 肩まである髪を耳にかけ、 濃い化粧をしているにも関わらず 小さな手鏡で自分の顔の確認をしていた。 名前は、知らない。 「寂しいなあ…? ゆ・づ・くん」 「!!」 イラッと、きた。 そう、呼んでいいのは。 ……お前じゃない。 「その名前で呼ぶな、死ね」 「だってこうしないと優樹くんこっち見てくれないんだもん」 くすくすとおかしそうに笑うそいつに 俺は危うくぶん殴りそうになる衝動を 必死で抑えた。