「あなたは、いつも足音を鳴らしている人ですね…?」 はぁ、とため息が聞こえる。 コツコツと階段を降りてくる彼の姿が、月明かりに照らされる…。 髪の毛の間からフサフサした耳が生え、背後には太いしっぽが全部で9尾生えていた。 彼は、人間の姿をした狐であった。 キリッした瞳に、整った顔。それをゆがませて、私を見ている。