このビルのイタリアンは、私も何度か友達と来たことがあった。
確かに味は間違いない。
イタリアンといえば、わりとリーズナブルな印象だけど、ここは少し高級感があった。
食材にかなりこだわりがあって、ピザを焼く石窯も設置されていた。
部長と食事するイタリアンとしては、ナイスチョイスだと思う。
座席も個室で、窓に面していた。
接待で十分使えそうな個室。
窓から見える都会の瞬きがとても美しかった。
「ここ、いいね。今度うちの家内を連れてこよう。」
ゆっくりと椅子に座ると部長は嬉しそうに言った。
「部長は、どうしてイタリアンを希望されたんですか?なんだか和食ってイメージでしたけど。」
「ああ、僕も海外赴任生活が長かったからね。日本ではどうしても接待は和食系が多いんだけど、実は洋食の方が好みでね。日本酒よりもワイン派なんだよ。」
部長は優しく笑って答えた。
「そうなんですね。海外ってどちらにいらっしゃったんですか?」
「アメリカ、ドイツ、あとオーストリアにもよく出張で行ったかな。」
オーストリア。
ちらっとショウヘイを見るけど、素知らぬ顔でメニューを広げていた。
「部長、ワインは何がよろしいですか?」
オーストリアには全く表情を変えず、部長の前にワインリストを差し出した。
「そうだねぇ。どれでもいいよ。若い君らの好みで頼んでくれ。若い人達の趣味も拝見したいしね。」
部長は、いつもこうやって自分がって押しのけるんじゃなく、若手を持ち上げてくれる。
だから、若手社員に慕われるんだよね。
偉くなってもこういう事が言えるって、すごいと思う。
そんな役員クラス、あんまり見たことないもん。
「じゃ、君選んで。」
急にショウヘイは私にワインリストを回してきた。
まじか。
色んな国のワインが並んで書いてあった。
「私、フランスワインより、チリワインが好きなんですけど、よろしいですか?」
部長の顔を見て尋ねた。
「おお。良いセンスしてるね。チリは少し辛口が多い。僕も好きだしそれにしてくれ。」
「はい。」
ショウヘイに「これ」と指刺してワインリストを返した。
チリワインも色々あるんだけど、やっぱり部長クラスと飲むんだったら、あまり安いのもね。
私がはっきり物を言うもんだから、ショウヘイは片方の眉毛を少し上げて少しあきれた顔をしてリストを受け取った。
確かに味は間違いない。
イタリアンといえば、わりとリーズナブルな印象だけど、ここは少し高級感があった。
食材にかなりこだわりがあって、ピザを焼く石窯も設置されていた。
部長と食事するイタリアンとしては、ナイスチョイスだと思う。
座席も個室で、窓に面していた。
接待で十分使えそうな個室。
窓から見える都会の瞬きがとても美しかった。
「ここ、いいね。今度うちの家内を連れてこよう。」
ゆっくりと椅子に座ると部長は嬉しそうに言った。
「部長は、どうしてイタリアンを希望されたんですか?なんだか和食ってイメージでしたけど。」
「ああ、僕も海外赴任生活が長かったからね。日本ではどうしても接待は和食系が多いんだけど、実は洋食の方が好みでね。日本酒よりもワイン派なんだよ。」
部長は優しく笑って答えた。
「そうなんですね。海外ってどちらにいらっしゃったんですか?」
「アメリカ、ドイツ、あとオーストリアにもよく出張で行ったかな。」
オーストリア。
ちらっとショウヘイを見るけど、素知らぬ顔でメニューを広げていた。
「部長、ワインは何がよろしいですか?」
オーストリアには全く表情を変えず、部長の前にワインリストを差し出した。
「そうだねぇ。どれでもいいよ。若い君らの好みで頼んでくれ。若い人達の趣味も拝見したいしね。」
部長は、いつもこうやって自分がって押しのけるんじゃなく、若手を持ち上げてくれる。
だから、若手社員に慕われるんだよね。
偉くなってもこういう事が言えるって、すごいと思う。
そんな役員クラス、あんまり見たことないもん。
「じゃ、君選んで。」
急にショウヘイは私にワインリストを回してきた。
まじか。
色んな国のワインが並んで書いてあった。
「私、フランスワインより、チリワインが好きなんですけど、よろしいですか?」
部長の顔を見て尋ねた。
「おお。良いセンスしてるね。チリは少し辛口が多い。僕も好きだしそれにしてくれ。」
「はい。」
ショウヘイに「これ」と指刺してワインリストを返した。
チリワインも色々あるんだけど、やっぱり部長クラスと飲むんだったら、あまり安いのもね。
私がはっきり物を言うもんだから、ショウヘイは片方の眉毛を少し上げて少しあきれた顔をしてリストを受け取った。



