ショウヘイをチラッと見ると、彼はパソコンに目を向けて、すぐにキーボードを打ち始めた。

きっと私への返信だ。

ドキドキしながら、そのメールの着信を待つ。

こんなに近くにいるのにメールのやりとりしてるのも、なんだか不思議。

だけど、二人だけの秘密めいてて、ときめいた。

ときめくなんて事、いつ以来だろう。

そう思った時、メールが届く。

すぐに開ける。

『俺は大丈夫。18時30分に駅の本屋の入り口で。』

待ち合わせだ。

太ももを軽くつねってみる。

痛っ。

夢じゃない。

ショウヘイと二人でまた会える日がこんなに早く訪れるなんて。

二人で会いたかった。

こないだのキスの後から、ずっと。

って、何期待してんだ?

そんな期待するようなこと、何もないかもしれないのに。

返信を打とうとしたとき、またショウヘイからメールが届く。

件名は「追伸」となっていた。

なに?

『実は今朝松坂部長から退職する前に俺と話がしたいとお誘いがあって、是非村上さんにも声かけるようにって。悪いけど、付き合って下さい。お店の場所は俺の方で既に予約済みです。』

・・・。

思わず返信を打つ手が止まった。

二人きりじゃないんだ。

しかも、ショウヘイからのお誘いじゃなくて、松坂部長からのお誘いだった。

一気に高揚していた気持ちがクールダウンしていく。

・・・なぁんだ。

ま、そんなトントン拍子に話がうまく進むなんてことないわよね。

軽くため息をつくと、彼に返信を打った。

『了解です』

送信すると、パソコンを閉じて朝の書類の整理を始めた。

ようやくって感じだけど。