コーヒーを持って自分の席につくと、ショウヘイ達が入っていた会議室の扉がガチャッと開いた。

ショウヘイが先に出てきて、部屋の中に座っているだろう部長に深々と頭を下げた。

くるっとこちらに顔を向けたショウヘイは妙に清々しい表情に見える。

何、話してたんだろう。

しばらくして、河村部長が出てきた。

とても神妙な表情を浮かべながら、役員室へゆっくりと歩いて行った。

ショウヘイは、部長が役員室に向かったのを見届けると、岩村課長のとこへ行き、また再び岩村課長と会議室に入ってしまった。

やはり異動関係だろうか?

久しぶりにショウヘイの行動が気になって仕方がなかった。

・・・大丈夫なの?

気になりながらも、本人に確認することもできず1週間が過ぎていく。

そして1週間後の朝。

出勤すると、人事部メンバー達に会議室に集まるよう岩村課長から指示があった。

胸がざわざわする。

もしかして、ショウヘイのこと?

会議室に入ると、岩村課長の横にはショウヘイが立っていた。

河村部長の姿はない。

岩村課長が私に全員集まったか?と目配せしてきた。

私は小さく手で丸を作る。

「えー、おはようございます。急な話ですが、澤村くんが退職することになった。」

え・・・。

退職?

我が耳を疑った。

異動じゃなく、会社を辞めちゃうの?