結婚適齢期症候群

ショウヘイは今頃どうしているだろう?

お風呂に入って、ソファーで少しくつろいでる頃だろうか。

私のこと、少しは気にしてくれてるのかな。

そんなことを考えていたら、いつの間にか寝ていた。

久しぶりの自宅のベッド。

心地よくて、ぐっすり眠れた。

やっぱり実家がいいわー、なんて思っちゃったら最後だもんね。

もし、しばらく独り身が続くようなら一人暮らしでも始めようかな。

自立の第一歩。

って、もう三十路だって。


ショウヘイと顔を合わせたくなかったけれど、翌朝、自分の気持ちを必死に鼓舞して会社に向かった。

既に出社しているショウヘイがデスクに座ってパソコンに向かっている。

チラッと私に視線を向けた。

私は軽く会釈する。

ショウヘイも表情を変えずに会釈した。

朝の仕事が始まる。

ショウヘイの事、いちいち気にしてたら仕事がはかどらない。

思い切ってショウヘイの存在をシャットアウトしながら仕事に励んだ。

たまたま、新しい部長対象の研修が始まり、会社ではややこしいことを考えずに済むのが幸いだった。

またいつもの日常を戻り出す。

時々ショウヘイと目が合うけれど、それ以上は何もない。

話しかけることも、メールのやりとりも仕事関係だけ。

あの日の夜が嘘みたいに、ショウヘイのことを知らなかった自分に少しずつ戻っていく。

戻っていけると信じていた。

そして、そんな2ヵ月後、妹は無事結婚式を挙げてオーストリアに旅立っていった。

あの涙は何だったの?っていうくらい幸せな笑顔で。