「もう出るから。」

私はバスタブから上がってシャワーを浴びた。

「お姉ちゃん、いつもの悪い癖出さないようにね。」

まだいたの？

「悪い癖って。」

「ネガティブ思考。あと焦って早く答えを出そうとすること。」

まぁ、妹のくせにえらそうに言うのね。

でもまんざら当たってないこともないわけで。

「わかった。気をつけるわ。」

って、もう既に陥ってるけどね。

ユカが脱衣所から出ていく音を確認して、風呂場の扉を開けた。

ひんやりとした空気が肌にはりついて気持ちがいい。

バスタオルにくるまりながら、しばらくその冷たい空気を感じていた。

「あ、そうそう！」

急に脱衣所の扉がガラガラと開いて驚く。

「な、何？びっくりするじゃない。」

「ごめんごめん。さっきからお姉ちゃんのスマホがピョンピョン鳴ってたよー。誰からだろうねぇ。」

ユカはにたにた笑いながら、ゆっくりと扉を閉めた。

スマホが鳴ってた？

こんな時間に？

ひょっとしてショウヘイ？

素早くパジャマに着替えると、自分の部屋に駆け上がった。

自分のベッドの上に放置されているスマホがチカチカ点滅している。

胸がドキドキする。

スマホを見ると、着信あり。

･･･マキからだった。